新型コロナウイルスのパンデミックにより、我々の経済社会に対する考え方が変化しています。明日の社会をより環境に優しく包摂的で危機対応能力の高いものに転換できるか否かは、今日政府が選択する政策にかかっています。今こそ、誰もが自信を持って将来と向き合えるよう進むべき道を明らかにするチャンスです。
グローバル化、テクノロジー、気候変動を始め多くのメガトレンド(巨大潮流)が、東南アジアの社会経済を変革さています。世界の他の地域でも、新型コロナのパンデミックで、学習と就労のデジタル化が加速する一方で、教育と労働市場における不平等が拡大しました。
労働者がインフォーマル就労から抜け出せるよう支援し、生産性を向上させ、幸福度(暮らし良さ、well-being)を促進するためには、スキルを身に着け、活用する機会を増やす必要があります。2021年のConsolidated Strategy on the Fourth Industrial Revolution for ASEANのような既存の地域プログラムも、その一助となります。
スキルを向上させる生涯学習、職場や社会におけるスキルの有効活用、スキル制度のガバナンス強化という3つの柱が、東南アジアが包摂的で豊かな未来を構築する一助となります。
コロナ禍の前には、遠隔診療はほとんどのOECD諸国で利用が限られていましたが、2020年に、各国政府は提供者支払制度(provider payment systems)の変更など、遠隔診療を推進し始めました。遠隔診療は急増し、治療を継続する上で不可欠なものになりました。
今日、遠隔診療の実施、規制、資金供給などの方法にはOECD加盟国間で大きな違いがあります。遠隔診療を管理する規制が明確であると答えた国は17カ国に過ぎないため、依然として不明確な部分があります。そのことが、医療提供者の遠隔診療を難しくしています。
政策当局は次の点を検討する必要があります:
・遠隔診療が医療制度全体に及ぼす影響をよりよく理解するために、誰がどのような理由で遠隔診療を利用しているか、その利用後の感想や状態を知る。
・支払いと組織的な在り方は最も有効な遠隔診療の利用を促すのか。
・遠隔診療と直接診療をどのように統合するか。
アジア・太平洋諸国27カ国から得た人々の健康状態、健康の決定要因、医療資源とその活用、医療費と資金源、医療の質に関する指標を収録しています。(2022年11月25日)
新型コロナを受けて、回復力と実行力の高い医療制度を構築する上でどのような課題があるでしょうか。パンデミックは若者の心身の健康と、新型コロナ以外の患者にどのような影響を及ぼしているでしょうか。(2022年12月5日)
開発途上国は、2021年にワクチンにかかわるODAとして63億米ドルを受け取りました。国別の支援額はこちらからご覧ください。
新型コロナにより医療従事者の長期にわたり問題となっていた技能不足が浮き彫りになりました。OECDとILOによる共同報告書では、16カ国の取り組みの概要を収録し、各国政府が将来の危機にどのように備えるべきかを考察しています。(2022年12月15日)
本書では、南米諸国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、メキシコ、ペルー)で新型コロナのパンデミックの影響を吸収するために取られた医療政策・行動を考察しています。(2022年12月13日)
OECD諸国の医療と健康、および医療制度に関する統計を包括的に収録した統計データベースです。
ロシアの侵略戦争がもたらすエネルギーショック、インフレのさらなる進行、景況感の悪化、リスクの高まりにより、世界経済は、今後数年さらに成長が鈍化すると見られています。
新型コロナで、社会的流動性に以前からあった断絶が浮き彫りになりました。それはなんでしょうか、またそれがなぜ重要で、政策によってどのように支援できるでしょうか。OECDの新しいポータルサイトをご覧ください。
生まれてから5歳になるまでは、大きなチャンスと、そして大きなリスクがある時期です。教育は子どもの未来をより危機対応力のあるものにすることができます。どのような政策がベストなのでしょうか。
新型コロナのショックにより、2020年の観光業のGDPに占める割合はOECD諸国平均で2.8%となり、コロナ前と比べて1.9ポイント下落しました。平均すると、OECD諸国におけるサービス関連輸出の20.5%を創出していました。
観光業は雇用を創出し、地域の発展の刺激となり、地元を支えています。コロナ禍前に観光業の規模が大きかった国々、例えばアイスランド(対GDP比8.1%)、メキシコ(同8.0%)、ポルトガル(同8.1%)では、観光業がGDPに占める割合の下落が最も大きく、またGDP総額も大幅に落ち込みました。
雇用維持策により、観光業の雇用へのパンデミックの影響は抑えられましたが、労働力不足とスキル不足により、回復が抑えられる恐れがあります。2022年第1四半期には、宿泊・飲食サービス業の雇用は平均でコロナ禍前の水準を9.0%下回りました。
新型コロナは、多くの経済的脆弱さを浮き彫りにしました。しかし、パンデミックからの回復は、経済回復を強化できるように投資資本をよりよく配分する方法を再考する好機でもあります。
経済への投資は 年金サービス業者のビジネスの一環で、すでに多額の資本が株式と社債に割り当てられています。しかし、長期投資見通しを持ってはいますが、これまでのインフラ(交通網、公共事業、エネルギー、通信、社会インフラなど)のような流動性が低い長期資産への投資は低調です。例えば、非上場のインフラ企業の株式と社債が、2017年の年金基金の運用受託資産に占める割合は、わずか1.3%でした。
代替投資の障害を取り除くと、より多くの資本が長期資産に向けられ、回復力のある経済への移行が後押しされる可能性があります。
2021年、COVID-19ワクチン支援63億米ドル―ほぼ8億5700回分―が開発途上国に提供されました。これは、OECD開発援助委員会(DAC)加盟国からの政府開発援助(ODA)総額の3.5%を占めており、支援総額を過去最高額の1790億米ドルまで押し上げ、実質ベースで2020年より4.4%も増加しました。COVID-19ワクチン支援を除くと、増加率は0.6%でした。
しかし、課題もあります。ロシアによるウクライナ侵攻で物価が高騰しているため、食料不安が高まっています。
エネルギー価格の高騰と財政圧力の高まりで成長が低迷する中で、最も深刻な打撃を受けている国々は追加のODAを必要としています。新型コロナからの力強い経済復興を目指す政府の取り組みは一層厳しさを増しています。
マスク、検査キット、新型コロナのワクチンは、パンデミックの発生以来多くの人々が急速に馴染んだ三大製品です。
OECDの新たな分析では、多くの生産者が急速に生産を拡大して需要を満たした一方で、幅広い資材や材料を安定的に確保する上でグローバル・サプライチェーンが重要な役割を果たしていることに焦点を当てています。
OECDは、各国の新型コロナからの復興とより強い再建を支援することを目指し、二つの新しいツールを開発しました。
> The COVID-19 Recovery Dashboard 新型コロナ復興ダッシュボード)は、各国の復興に向けた取り組みを4つのパラメータ(強靭性、包摂性、環境への配慮、危機対応力)で測定する総合的な指標を提供しています。
> The Regional Recovery Platform (地域復興プラットフォーム)は、各国内の復興の不均衡という課題に、国際比較ができる地域別の様々な指標を引用して、取り組んでいます。
> OECD policy responsesはこちら
日本語版のリストを表示するには、こちらをクリックしてください。
Frances O'Grady
General Secretary
Trades Union Congress (England & Wales)
Nicol Turner-Lee & Samantha Lai
Center for Technology Innovation
Brookings Institution
Flavia Colonnese
Policy and Advocacy Manager
European Youth Forum
Kyoko Ozawa, Student, former Chief Future Officer, Euglena
OECD Forum Networkは、危機対応力のある復興を実現し新型コロナのパンデミックからより強く立ち上がる方法について、様々な声、意見、アイデアをまとめています。
あなたのご意見をお聞かせください。