本稿は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)危機の始まりから1年間に実施された様々な中小企業・起業関連政策措置を、これまでに得た教訓と今後実施される政策への意味合いを明らかにし、政府が中小企業の復興と危機対応能力を支援する実証に基づく政策を構築するのを支援するという観点から分析している。中小企業がパンデミック初期に経済活動の途絶のまっただ中でどのような状態にあったか、そしてそれから1年が経ち、特に創業間もない若い企業とスタートアップ、自営業者、そして女性経営者または少数者が経営者の企業がさらに不安定さが増した状態にあることを明らかにしている。政府は、中小企業と起業家への支援策を迅速に導入したが、パンデミックが始まってから1年が経ち、緊急時の流動性支援は依然として必須だが、それは長期的に持続可能ではなくマイナス影響を及ぼす可能性があるため、復興支援のためにも対処する必要があるという、複雑なジレンマを抱えている。本稿では、各国政府が次の3つの課題に対処するのを助けるための、15の教訓を解説している。1. 中小企業の流動性危機を回避するための支援策を継続しつつ、その副作用を抑える;2. この緊急支援の段階的撤廃によって中小企業が倒産の危機に陥らないようにする;3. 中小企業の復興を支援する有効な政策を採り入れる。
中小企業・企業向け新型コロナウイルス感染症対策の1年
「より良い復興」に向けた教訓
新型コロナウイルス(COVID-19)へのOECD政策対応