COVID-19の景気後退から労働市場は力強く回復していたが、2022年及び2023年初頭の景気減速を背景に失速した。ただ、就業者数や失業率は堅調さを保っており、求人倍率もいくらか落ち着ついてきているものの大多数の国々で依然として高い水準にある。本年5月にはOECD全体の失業率は4.8%にまで下落しており、ここ数十年ぶりの低水準となっている。
日本では過去一年間就業者数や失業率ともにおおよそ安定している。本年5月時点では、人口の高齢化・減少によって就業者数は6740万人と2019年12月の水準から0.7%下がっている。一方で、失業率は2.6%で落ち着いたものの、COVID-19危機前の水準よりも依然として高くなっている。
『OECD経済見通し2023』では、日本の失業率は2023年第4四半期に2.5%、2024年第4四半期に2.4%と引き続き安定し、就業者数も2019年第4四半期から約1.0%低い水準で2023年から2024年の間は安定化するだろうと予測している。
日本の労働市場におけるジェンダー格差は依然として大きい。例えば、2021年に男女間の賃金格差はOECD平均では12%であったのに対し日本では22%であった。しかし、昨今はジェンダーの問題に対処するための改善策が次々と講じられている。2022年7月からは、いわゆる女性活躍推進法により大企業に男女間の賃金格差を公表することが義務付けられた。2023年4月には、こども家庭庁が設立されて子育てに係る政策が一元化され、2030年代初めには予算倍増が目されている。2023年6月には、東京証券取引所プライム市場の上場企業に対して、2025年までに女性役員を最低一名選出、2030年までに女性役員の比率が最低三割になるよう奨励する取り組みが政府によって発表された。